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<第10弾 小説を書いてみた> 日本人の友達

はじめに

皆さん、こんにちは!Dスケです。

名前:Dスケ

大手企業を退職後、ロンドンへ留学。ロンドンのライフスタイルに影響を受け現在は、ブロガーとして生活。ネットビジネスのほか、デイトレや留学ライターとしても活動中。(社会人でのロンドン留学のご相談はいつでも)twitter@D_suke_tawagoto)で主にリアクションしています!

今後ともよろしくお願いします!

最近暑くて、本当に家にいるだけでボーっとするのでカフェに行ったりしますが、コロナの大2波も気になってきましたよね。

なかなか気軽には都心部に行ったり、カフェには行けない日々が続いています。

さて、小説もついに10弾となりました。なかなかの反響があり続いている状況です。

それでは早速いきましょう。

日本人の友達

「何歳?」

僕は同じクラスのリョウという日本人の男に声をかけた。

「21歳っす」

僕と6つも歳が違う。僕は自分の歳を言わなくてもいいのなら伏せておこうと思ったがすぐに「何歳ですか?」と敬語で聞いてきた。敬語を使うあたり、僕の方がやはり年上と思われてしまっているのだろう、僕は「24歳」と3歳下にサバをよんだ。彼は「大学生かと思いました」と言った。大学生の時、年上に見られることにとても優越感を感じていた。理由は、それだけ経験豊富に見え、落ち着いた人間に見られているのかと思っていたからだ。しかし、会社を辞めてから取引先のクライアントが僕のために送別会をしてくれた時に言われた言葉がある。

「会社辞めて良かったですね。今、5歳くらい若返ってキラキラしてますよ。冗談抜きに本当に、久しぶりにあってそう思いました」

それからというもの僕は人に若く見られたいと思うようになったのだ。

「嘘、本当は27歳!」僕は大学生と言われ満足したので本当の年齢を言った。「出身、大阪っすか?」彼は、なかなか勘が鋭いのかもしれない。「違うよ、東京」またも嘘をついてカマをかけて見た。「本当っすか?大阪人っぽいんすけどね」ロンドンに来てもなお、僕の大阪人の臭いは染み付いていた。「うそうそ、大阪やで」わざとらしく「やで」を強調した。「いや、やっぱり面白いっすわ。昼ごはん行きません?」僕たちは近くのピザ屋に向かい、すぐに意気投合した。

彼の名前は「リョウ」。大学2年生で1年間休学し、3ヶ月の留学をロンドンで過ごす予定らしい。彼の彼女はパリジェンヌだった。写真を見せてもらったが、まさにモデルだった。彼女は日本のことが好きで、日本での留学をきっかけに二人は付き合ったみたいだ。やはりそんな彼も少し変わっていた。

「今度買い物行きましょうよ」

とショッピングに誘われ、ロンドンの古着街に二人で何度も足を運んだ。「アイス食いに行こう」これが僕と彼の休憩しようという合図だった。ロンドンにはたくさんのアイスクリーム屋があり、カフェのような席もあった。そこで僕たちは何時間もお互いの過去や将来、お互いの英語での会話を録音して発音チェックしたりした。彼は僕の顔をみて吹き出した。「ちょっと待ってください。今日、その顔ツボなんですけど」今日は僕の顔が彼にとっては笑いのツボに入っていたらしい。僕の顔を見る度に吹き出すのを繰り返し、僕もいろんな角度で自分の顔を見せて、遊んでいた。まるで赤ちゃんを笑かすかのようだった。

彼の学校への出席率は著しく低く、2日に1回から3回に1回のペースにさらにギアチェンジした。つまり週に2回しか学校へはこない。彼は学校から電車で30分以上離れたところでホームステイをしていた。彼から聞くと、ホームステイは悲惨のようだった。ある日家中が汚物の臭いで充満したらしいが、ホストマザーはそれを全て彼のせいにしたという。さらには、同じホームステイをしていたロシア人のワキガの臭いで、彼の後の風呂は地獄だったそうだ。もちろん出てくる食事も冷凍食品のものばかりだったらしい。それを3ヶ月も彼は耐え抜いていた。あいにく僕にはそのような不屈な精神は持ち合わせていない。

「一緒に夕食付き合ってくださいよ」

彼は、よく僕にこういった。「ホームステイの夕飯マジでまずいんで、外で食べて帰りたいんすよ」僕は、彼と会う度に食事は外で済ませていた。いや、彼がいなくても外で済ませていた。

「後輩から好かれるでしょ?」

ある美術館のカフェで彼に言われた言葉を今でも覚えている。「わざといじらせてくれる余地を与えてくれてますよね?」彼は鋭かった。僕も気づかないうちにしていたことを、はっきりと教えてくれた。「えー、そんな感じする?」「いや、めっちゃしますよ。だって、本当は頭いいでしょ?」彼もまたおだて上手だった。だが、全く悪い気分がしない。僕は基本的に、人から褒められるとやる気を失ったり、バカにされている気がして、褒め言葉は真正面には受け取らない主義だ。しかし、今回のように自分でも気づかない部分を褒められると、そうなのかな?という気分にさせられた。不思議なものだ。

「逆に先輩に取り入るのうまいやろ?」僕は反撃した。「というよりは同い年といても面白みを感じずについつい先輩と一緒にいると楽って感じてしまう感じ?同い年と一緒にいると逆に気を使う的な」「あたりっす」僕は、中学生の時から人間の感情を読み取ることに少しだけ長けている。だから、人が本気で嫌がるようなことも思いつき、僕が本気で怒りを感じた時はそれを実行し相手に地獄を見せることができた。

「いやー、東京きたら連絡してください!東京でお互いロンドンの思い出を英語で会話しましょうよ!」
「間違いない、やろ!未来の自分たちが過去振り返った時、あの時めちゃくちゃ最高やったなーと思ってるやろうな」
「本当にそう思います。今後の人生でこんな時間もうないっすよね」

この言葉に少し引っかかった。

「え、21歳やっけ?あるある。まだまだある!俺なんて27歳でここに来てるねんもん」
「いや、Dスケさんは40歳とかになってもなんか、いけるいける、やろやろとか言ってそうですもんね」

40歳の自分?確かに僕には将来の自分を想像する力は生まれつき、持つことができなかったのかもしれない。美術館に飾られた、赤と黄色そして緑で描かれたぐちゃぐちゃの絵を全く理解ができなかったことを思い出し、あの絵は僕の13年後の自分だったのかもしれないと思った。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

友達付き合いとかでも自分の本質とか将来像とか考える機会てありますよね。

僕は彼がいたおかげで、英語も最後まで頑張ることができたし、最高の思い出を作ることもできましたね。またいつか、あの時話をしたことが東京でできるかもしれないと思うと、人生の楽しみが1つ増えた気がします。

それでは、みなさん良い1日を!

 

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